ビジネスルールや商習慣、社会背景など「中国」を知る手がかりとなるような話題・情報を、連載コラムとしてお届けします。


第5回・「官」「民」関係  2004/06/04
第4回・人材確保  2004/03/08
第3回・即断即決  2004/03/01
第2回:現地に同化しよう  2004/02/23
第1回・歴史と常識をしっかり勉強しておきましょう  2004/02/16


第5回・「官」「民」関係
 中国でビジネスを展開する日本企業は、中国の「官」との直接的、あるいは間接的な接触がどうしても避けられないが、一方、一民間企業、特に外資系企業として「官」とどのような関係を構築し維持したらよいのか、困惑することは少なくないようだ。
 実際に、企業は中国進出に当たって、まず中央政府や地方政府に工場建設用地の取得、会社設立手続き、インフラ整備(特に電力)、諸認可、税務、従業員の採用、福利厚生など、さまざまなところで政府―いわゆる「官」の世話にならざるを得ない立場に置かれる。この段階では、外資企業であれば、各開発区が積極的に企業誘致を行っているため、どこへ行っても歓迎され、この段階で、日本企業が「官」との関係は比較的シンプルで、良好な関係を構築と維持するのはそう難しくないと思われる。

 一方、経済改革開放約20年間の経験から、国家及び地方の行政機関の組織がスリム化され、また、国家公務員と地方公務員が若返り、業務能力や素質もかなり向上してきた。これにより、官公庁で煩雑な手続きをする際、日本と比べ、中国の迅速かつ効率的な業務に感心する企業と担当者が多いかもしれない。
 それ以外の「官」関係者との付き合いをどのようにしたらよいか、最近体験した例をとって、分析してみたい。

 ある官公庁が中国無線通信機の一部国家基準を作ろうとした。作業の流れとしては、まず官公庁の担当部署は民間企業(業界のキーとなる企業)の担当者や研究所などの専門家を集めて、ミーティングを開く。会議の席上で協議した内容を国家基準の叩き台の案をまとめる。この案が大会で承認された後、官公庁はまず通信機メーカー、大型販売店などを招集して、「官」側の代表がホスト役を務める会議を開き、関係者から意見を聞く。
 ところが、会議で、ある外資系企業の技術担当者が新しく作る予定の国家基準に問題があると気づく。なぜなら、叩き台の案を作る最初の会議に参加した民間企業、特にグローバル事業展開の通信機メーカー担当者が少ないせいか、結果的には販売店側中心の意見が多く盛り込まれてしまったからだ。販売店側は、技術的なスペックや、欧州、米国それぞれの基準についての専門知識がそれほど詳しくないため、欧州より厳しい基準を作ろうとしていた。
 最終的に、外資系メーカー技術担当者が国際的な普通基準の紹介と自社の意見を発表することによって、官公庁側もその問題を認識し、指導基準をある程度是正した。
 この例から見ておわかりのように、最近、中国ではいろいろな分野で新しい「官」と「民」の関係づくりの土台ができつつある。意見を出し合うプラットフォームで、それぞれの考えと議論を発表することができ、その結果が業界の基準規定の中にある程度反映される。企業側も官との良好な関係づくりへの心構えを持つことが望ましいかもしれない。
 もちろん、中国の「官」とのお付き合いは上記のような建前のお付き合い以外に、人間同士の本音のお付き合いもある。このレベルになると、中国の社会と文化の深いところに関わることになり、“真の中国”が見えてくる。

潟<fィア新日中
焦 楊
Date: 2004/06/04


第4回・人材確保
 ある経済開発区で日本の中堅メーカーの管理職採用の面接をしたことがある。そのときの驚きは今も鮮明に覚えている。
 まず、希望募集職種のポジション、人数、職場と会社紹介などの募集要項を人材専門のインターネットメディアに掲載すると、ほとんど時間を置かずに応募者の履歴書が送られて来た。そのレスポンスの速さにまず驚いた。
 そして、次に驚いたのが応募者数の多さである。募集予定管理職数10名に対し、わずか一週間たらずで約30倍もの応募者の履歴書が送られて来た。しかも応募者の大半は年齢が若いにもかかわらず、自分のキャリアアップのために、さまざまな資格と専門知識を取得していたのである。

 書類選考を経て、面接となった時、応募者のほとんどが日系企業勤務経験を持っていることに気が付いた。
 例えば、28歳の若さにもかかわらず、生産管理、品質管理などのマネージャーとして、日本では5本の指に入る有名メーカー2社に勤務した経験がある人もいた。また、多くの人が日本の本社工場で半年か一年の長期研修を受けた経験があることもわかった。

 どうして、このような若手の管理者候補生が頻繁に転職するのか。また、なぜ次の転職先に日本企業を選択するのか、面接の時に尋ねてみた。
 回答は意外にシンプルであった。なぜ頻繁に転職するのかというと、やはり「自分のキャリアアップと給料アップのため」ということだった。そして再就職先をまた日系企業にする理由としては、日系企業は優秀で環境、研修と人材教育制度などが整備されて
いるからだと言う。

 中国の若者は、近年の目覚しい経済発展にともない、欧米の文化と価値観もたくさん受け入れたようだ。特に、自分の労働価値がどのぐらいあるか、どうやって自分の価値をもっと高めるかについて強く意識し始めている。
 転職は、自分のキャリアと所得アップを実現する一つの方法だと考え、何回か転職するなかで、自分に一番相応しく、自分の能力を高く評価してくれる会社に巡り会えたら、そこで定着を図ろうとしているようだ。そのたの、自己努力も人一倍している。

 しかし、普通の日本企業、特に中国進出メーカーは、社内に既存の労働評価と昇進カテゴリがあり、特に若手の管理者起用には慎重のようだ。まず自社の色に染まるまで、研修、訓練、各職場の経験を先決にしている。
 昇進をさせても、欧米企業と中国企業に比べるとそのスピードは遅いように思う。今後、優秀な人材の確保と人材の会社定着率を安定させるには、いろいろな工夫が必要かもしれない。
(メディア新日中 焦 楊)
Date: 2004/03/08


第3回・即断即決
 先日、中国大手製造業の幹部8名が来日し、日本の関連企業数社を視察した。
 10日間ほどの滞在をへて帰国直前に彼らの発した言葉は「日本はせわしく動くので疲れる。中国へ早く戻りたい」であった。街さえもめまぐるしく変化してしまう中国から来た人たちのコメントとは、とても思えない。

 市場経済を導入してからすでに約20年が経過し、中国経済の発展のスピードはここ数年とみに加速している。当初は中国国内の安い労働力を利用した輸出型経済であったが、昨今は国内の無尽蔵ともいえる消費・購買力にも支えられ、年平均成長率は7%から8%を維持している。
 また先進国に留学していた優秀な人材が中国へUターンし、彼らが学んだ先端技術や経営ノウハウなどを駆使した起業も盛んだ。

 このスピード感あふれる中国の経済発展の成長を支えているのが、20代後半から40代前半の若い人たちだ。急成長を遂げている企業や地方政府幹部のほとんどがこの年代であるといってもよい。そして、彼らは自身の政策・経営哲学を持ち、管理能力を持つパワー全開のエリートたちでもある。

 さて、中国に進出している日本企業の幹部たちは、やる気旺盛な若い幹部と日常的に遭遇することになる。特に商談や契約の場では、彼らはある程度の権限を持って臨んでおり、明確な判断を日本側に求めることが多い。
 ところが日本側中国駐在事務所管理職のほとんどが彼らよりも高齢で、しかも本社の稟議を経ないと決定できない。従ってその場では即決できず、話を持ち帰ることになる。その回答が数週間、いや数日間のちであったとしても、中国側にとっては遅く、無駄な時間とうつってしまう。

 日本企業は成果を求めるのと同じように、リスク回避にも重きを置く傾向がある。そのため責任を問われる案件に関しては慎重になってしまうのだろう。中国側と信頼関係があるという状況がもちろん大前提だが、中国と直接交渉にあたる担当管理職には、その場で即断即決のできる、ある程度の権限を与えることが急務だと思う。
 そのためには社内の稟議等の手続きを速め、そのプロセスをクリアにしていくことが必要だ。そうなればビジネスチャンスはさらに大きく広がっていくと思うのだが。
(メディア新日中 焦 楊)
Date: 2004/03/01


第2回:現地に同化しよう
 2003年上半期、中国をはじめ世界はSARS(重症急性呼吸器症候群)の感染に脅かされた。
 SARS感染拡大報道の続くなか、日本の大手旅行代理店がSARS関連情報の説明会を開いた。その場で、「中国にいる日本人がSARSに感染するのは、宝くじに当るのと同じくらい確率が低い。なぜかと言うと、日本人は海外でいつ、どこで、だれと、なにをするか、だいたい分かっているから」と発言した人がいた。

 確かに、短期出張者の場合、空港に着くと日本の商社マンや現地法人の日本語が話せるスタッフの出迎えがあり、日本語の通じるホテルに宿泊し、視察や打合せの時も日本語を使うことが多い。また、長期滞在の駐在員の場合は、言葉の問題は解決できていても、仕事上のつき合いを除き、日本人同士の交流に時間を割く人が多い。情報収集も日本語版のメディアに頼りきっている様子だ。
 北京、上海などの大都会では、「東京ウォーカー」や「横浜ウォーカー」とよく似た「スーパーシティー」「マイシティー」など、日本語タウン情報誌が出版され、そこに取り上げられたスポットはたくさんの日本人で賑わっているという。

 もちろん、海外で仕事をするということは、不安や緊張、あるいは孤独やストレスなど、想像以上のものがあると思う。そんな時、日本人コミュニティの存在が、精神的な安定や情報の交換にどのぐらい役に立つかも十分に理解できる。
 しかし、この行動パターンに頼り過ぎたら、いつまでたっても中国現地の生の生活、情報を得にくいばかりでなく、中国のビジネスにおいて最も重要な「人間関係作り」は期待できない。

 「郷に入っては郷に従え」のたとえではないが、中国を理解するためには、もっと中国に同化する必要がある。その第一歩が、現地の言葉、情報をもっと理解することである。

・中国語をできるだけ勉強する。(短期なら挨拶程度でも良い)
・中国人が良く行く場所へ出向く。
・中国の新聞、テレビなどからも情報を収集する。
この3点を心がけるだけでも、少しずつ「中国」に近づくことができると思う。

 なるべく自分の目と、耳と、肌で、現地のオリジナル情報をキャッチし、開いた心で現地の人と交流することが大事だ。そうすれば、現地の人の喜怒哀楽、価値観、仕事に対する態度などを理解することができるし、またそれなりの楽しみと意外な発見もあると思うのだが。
(メディア新日中 焦 楊)
Date: 2004/02/23


第1回・歴史と常識をしっかり勉強しておきましょう
 7、8年前に中国の政府要人が来日した際、交流を図るため、日本のある団体が歓迎の宴を設けた。
 歓迎の挨拶が終わり、何回かの「乾杯」を終えた後、招待側のある団体役員が「中国は本当に素晴らしい国で、4000年の歴史があり、日本人の生活に欠かせぬ漢字やお箸、醤油も中国から来た……」と言い出した。
 その話題をきっかけに、宴会は和やかになり、彼の話は孫子の兵法、三国志にまでに広がった。

 そんな中、要人が私に「この話は通訳しなくてもいいですが、彼は孫子の兵法、三国志にあんなに詳しいのに、中国の歴史が4000年ではなく5000年であることを、なぜ知らないでしょうね」と尋ねてきた。
 私は「日本では中国は4000年の歴史と言う人が普通のようです」と答えた。要人は不思議そうな顔をして、納得がいかない様子であった。

 その後折に触れ、いろいろな商談や交流の場で同じように「4000年の歴史、5000年の歴史」という話題に何度もぶつかった。場合によっては中国側がわざわざ「中国文明の歴史は4000年ではなくて、5000年だ」と日本側に訂正した人もいた。
 「4000年の歴史」と言う日本人は、会社役員、大手企業の上級管理職、官公庁の役員、グラフィックデザイナー、大学の先生、主婦、学生など幅広い分野にわたっており、文化程度が高い人たちも多い。

 中国の小学校教科書には「中国は紀元前後5000年の悠久たる文明の歴史を持っている」と確かに書いてある。これは中国では常識であり、誇りでもある。それが、いきなり1000年の歳月も減らされるとなると、違和感や不快感を覚えるのだろう。
 同じように、日本では「中国4000年」の定説が確立されており、教科書や歴史小説などを通して「常識」となっているのだろう。そして、皆さんはその「常識」をなんの悪意もなく普通に話題にしているのだと思う。

 中国との一般的な民間や企業間の交流上では、
  ・政治と歴史を別に考える
  ・歴史と常識を知る
  ・相互の尊重を重視する
その上で、「5000年の歴史」説をもって接すれば、スムーズに交流を展開することができる、と私は思っている。

 そして、時間と興味がある人なら、三国志などのほかに、中国の「正史」、特に、近代・現代史をもう少し勉強しておけば、中国人との交流に役立つと思うのだが。
(メディア新日中 焦 楊)
Date: 2004/02/16


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